皆さんにとって「金曜日」とはどのような日でしょうか?少なくとも今、気候変動に挑む世界中の若者の間では、金曜日はとても特別な日となっています。なぜなら彼(女)らは、気候変動の危機的状況を伝えるために毎週金曜日に気候ストライキをしているからです。
この行動はたった一人のスウェーデンの少女から始まりました。2018年8月、当時まだ15歳だったグレタ・トゥーンベリは、スウェーデン政府に気候変動への具体的な行動を求めるために、毎週金曜日に学校を休み国会議事堂の前で座り込みを始めました。彼女の勇気ある行動は、メディアやSNSを通じて瞬く間に世界中に発信されました。そしてひとりぼっちで始めたこの行動は、若者世代を中心に大きな共感を呼び「Fridays for Future (未来のための金曜日)」(以下、FFF)という世界的な気候ムーブメントへと発展しました。
現在FFFの活動は世界150ヵ国以上に広がり、国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)などの国際会議に合わせ、世界各地で大規模な気候ストライキを開催しています。2019年9月20日に世界で同時開催されたグローバル気候ストライキでは、760万人以上の人々が参加しました。
2018年2月には、日本でもこの動きに共感する若者によって「Fridays for Future Tokyo」(以下、FFFT)が立ち上げられました。発足当初に行った気候ストライキでは学生よりもメディアの数が多かったものの、FFFTの活動への共感の輪は徐々に広がり、2019年9月20日に行われたグローバル気候マーチ*には、東京で約2,000人が、全国では約5,000人が参加しました。また同年11月に行われたグローバル気候マーチでは、各地域でムーブメントを実施するだけでなく、東京都に気候非常事態宣言(CED)の発表を求める署名活動も行い、政治に対する具体的なアクションも行われました。
2020年現在、新型コロナウィルスの世界的な蔓延という未曽有の時代を迎えながらも、FFFTは約50名のメンバーが気候変動の解決を目指し、日々豊かなアイディアを活用した取り組みを行っています。4月24日には、グローバル気候マーチの代わりにオンライン上でデジタル気候マーチを開催し、SNSに多くの人々が地球を想うメッセージを発信しました。
このような気候変動の活動に奔走する若者がいるように、今世界中の多くの若者が自身の将来や次世代の未来、そして私たちの地球を守るために強い正義感を持って立ち上がっています。大人世代や家族、そして彼(女)らの学び舎である学校は、このような若者たちの声や行動にどのように応えていく必要があるのでしょうか?同じ地球に住む1人の人同士として、ぜひそれぞれの場所で話し合ってみてください。
* 日本では、諸外国で開催されているグローバル気候ストライキを、過激なものでなく楽しいムーブメントであると発信していこうということから「グローバル気候マーチ」と名称を変えて活動しています。
文責:岡田英里