絵本 『ポリぶくろ、1まい、すてた』

2019年
出版:さえら書房

とあるウミガメの動画がきっかけとなって問題が浮き彫りとなった、プラスチック問題。近年その問題の対策をすべく、世界各国はビニール袋やプラスチックストローの使用規制や有料化などを行っています。日本でも今年7月1日から、レジ袋の有料化がスタートしました。

この絵本はそんなプラスチック問題に約20年前から取り組んでいる、ガンビアに住む1人の女性のお話です。アイサト・シーセイさんは、1980年代から彼女が住む村でポリ袋の使用が増えたことで村の環境が悪化し、家畜の死やマラリアの流行といった健康被害が出ていることに危機感を抱きました。彼女自身も使用していたポリ袋が、村の人々や動植物を苦しめていることを知ったアイサトさんは、解決のために村の友人とアップサイクルに取り組むことにしました。

周囲からの偏見などの困難を経て実現した彼女の取り組みは、現在村のプラスチックゴミや環境問題の改善のみならず、女性のエンパワメントにも繋がっています。また、その活動の収入の一部は村の教育センターに寄付され、識字教育や保健衛生、環境問題の啓発活動にも使われています。  絵本を通してアフリカ地域でのプラスチック問題を知ることができるだけでなく、問題意識をきっかけに仲間と行動する大切さや、社会を変えていく力を知ることができる一冊です。ぜひ手に取ってみて下さい。

文責:岡田英里

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